平瓦が表裏交互に施工された、粋で風流な意匠の土塀復元工事。
裏返しで作る平瓦は、手作りによるため収縮率や乾燥時の反りを見越すのが難しく、立てたり寝かせたりしながら土の動きを見極めます。そしてようやく乾燥した白地に本来とは反対面に吐け土(化粧泥のようなもの:女性の化粧でいえばファンデーション)を塗布します。
とにかく、通常ある程度の量産ラインで製造される平瓦や桟瓦ほど、こと別注製作となると大幅に手間がかかります。製造過程で本来触ってもいい面に触れない、キズ等付いてもかまわない面は逆に磨かないと駄目・・・。
焼き上がりにおける行儀の仕上げ具合も含めて、手間・要領が180°転換してしまいます。
たった100枚の、この裏返しの平瓦を作るのに一ヶ月要しました。
数枚の試し焼きを窯出し・・・シミュレーションの結果、寸法・形状共に問題なさそうです。
手間をかけた仕事は長く残ります・・・左官修復も含め、関わる職人にとっては遣り甲斐のある仕事です。
このたった100枚に真心を込める・・・その積み重ねが、その先の仕事へと繋がります。